D.C.ⅡA.F.~ダ・カーポⅡ Another Future~
プロローグ
「こら、朝倉!居眠りしない!」
と轟いて、
「うわぁ!」
と突然に、朝倉純一は甘いまどろみから目を覚めた。
状況はまだ掴めないため声の元に向くと、座っている人物を見てから彼はホッとしたようで口を開いた。
「学校でもないのにそう呼ぶなよ。」
「だって、純一くんが居眠りしたんだもん。学校でなくても今は授業です。今年は受験でしょう?もっと確りしなさいよ。」
そう言って彼女は頬を膨らませて純一を睨んだ。
「しかし、お前は本当に変わったよな、この二年間に。」
純一はちょっとだけ睨み返して、目を上下させてからそう言った。
そう、彼女が枯れない桜を枯らして、また島を出て行ったからもう二年だった。まあ、出て行ってと言っても一年も経たずに帰ってきたし、実家だから別にいつ帰っても構いはしない。そのはずだったが、帰った時には彼女の印象は純一にとんでもなく違和感を感じていた。
帰って来てから、彼女の、芳乃さくらの初めての挨拶には、彼の事を「お兄ちゃん」ではなく、「純一くん」と呼んだ。
別に完全に変えた訳でもない。桜が枯れたから成長はしたけど、さすがに数ヶ月だけに見た目はそれ程変わらなかった。六年程遅れたの成長だし、自分の彼女がどれまで成長するのはこれからの楽しみと純一は思っていた。それに初めての挨拶だけで、さくらはまだ時々純一の事「お兄ちゃん」で呼ぶし、もっと成長した今でもそうしている。
頭の良さもそのまんまなのか、もしやそれ以上になったのか、帰ってから風見学園に教師をやっていて、ほぼこの二年間も純一の担任をやっていた。そして今、受験生である彼の勉強を見ている。
「変わらないよ、」
余所見をしていた純一に、
「お兄ちゃんへのボクの気持ちは。」
「そんな照れ臭い事言うなよ、ったく。」
純一は再びさくらに向いてから、
「でも何か実感が浮かないな、お前を見てると。六年経っても全く変わんなかったのに、この二年間にこんな成長して……」
と、彼女の身体をちょっとだけ見てから窓の外に目を遣った。
桜が枯らした今、夏であるため外は言うまでもなく木々の緑に染まっていた……
――それは、二年前に違った夢から覚めて、51年後の冬から始まるもうひとつの物語であった


